大腿骨頭壊死症Legg-Calve-Perthes Disease
大腿骨頭壊死症（Legg-Calve-Perthes Disease＝LCPD）は、大腿骨骨頭部の成長板への血液供給が不足し、構成骨が虚血により壊死する不可逆性骨疾患であり、ヒトを含む多くの哺乳類で報告されています。
犬のLCPDは、トイプードルなど小型犬に多く見られます。
血液供給障害の原因は不明ですが、遺伝的要素や性ホルモンの関与の可能性が指摘されています。
大腿骨頭部の骨壊死により関節を支えるべき軟骨下骨の支持力が低下し、様々な程度の骨折に発展します。
骨破壊の程度により症状は様々ですが、軽度跛行から、重症例では激しい疼痛による免重（挙上）と大腿部筋肉の著しい萎縮が見られます。
LCPDの治療は、疼痛の原因となる大腿骨頭の処理です。
従来から、患部の除外を目的とした救済措置として大腿骨頭骨頸切除術（FHO）が実施されています。
FHOは比較的簡便な方法であることから、4足歩行の動物にとって有効な治療法として定着していますが、大腿部筋肉の著しい萎縮や跛行をもたらします。股関節が後肢の最大関節である故です。
最近では、極小タイプの人工股関節置換術や大腿骨頭回転骨きり術など、股関節温存治療が実施できるようになり、好成績を挙げています。
後肢の運動にとってとても重要な股関節機能を復活させる手術方法として注目されています。
