骨折Bone fracture

骨折症例の多くは、整復固定治療直後の運動機能回復と疼痛消失により、普段の活発さを取り戻します。従って、骨癒合までの間、活発さに耐えて初期固定を維持できる安定した固定法が求められます。骨折の治療には、多くの手技や固定器具がありますが、専門知識・技術の習得や実施経験が治療成績に大きく関わってきます。固定の失宜はインプラントの破損や緩みを引き起こし、骨折部の不癒合(くっつかない)や変形(曲がり)の原因となります。骨折治療に関して多くの実績を持つAO法の原理に則り、ロッキング・プレートなどの優れた固定法材料を導入して、良好な骨癒合と早期自動運動の回復を実現しています。
対象:体重0.5kg~100kg

① 橈尺骨骨折

近年増加傾向にあるトイ種の橈尺骨骨折は、転落などの原因により、同骨の遠位に生ずることが多く、中でも手根関節(手首)近くでの骨折は、整復後の安定化が困難なために難治性骨折に位置付けられています。また、動物の前肢はヒトのそれと異なり荷重肢であるため、安定した初期固定が必要です。特に若齢犬や小型で骨が小さい場合には、1.0mm~1.5mmのスクリューを使用する小型のプレートが必要となります。

② Salter-Harris型骨折

成長期にある幼若動物において、骨の成長に関与する骨端板(長管骨の骨端に存在)に関連した骨折です。骨折の形状によりI-V型に分類されています。骨の成長に対する障害を最小限にするために、正確な整復と小径ピンを使用した安定した内固定が必要です。手術中には、C-armと呼ばれる術中X線透視装置を使用し、これらを監視し実施します。

③ 骨盤骨折

交通事故などの大きな外力により骨盤を構成する腸骨や坐骨、恥骨、仙骨に生じます。骨盤は四角い箱状の形状を有し、内腔に腸管や膀胱と尿管、後肢に分布する血管などの重要な臓器を含みます。これらの臓器の障害を最小限にとどめ、回復されるために、早期の整復固定が必要となります。骨折の原因により、多くの骨片が生じる粉砕骨折の場合が一般的であり、手術前に3D-CTを駆使した状況確認を行います。特に寛骨臼(股関節の一部)の粉砕骨折では、必須検査となります。