肩関節不安定症/肩関節脱臼Shoulder Instability/Dislocation

トイ・プードルなどの小型犬種に多くみられ、コーギーなどの中型犬種、ラブラドールやバーニーズなどの大型犬種にも認められます。
肩関節内側に2本あるV字状の内側肩甲上腕靭帯の伸張や断裂により生じます。

通常この関節の外転角度は、これらの靭帯によって25度前後に制限支持されていますが、重篤なケースでは90度近くまで拡大し、脱臼を繰り返えしている例も見られます。
発症初期や軽度の場合には、肩関節外転防止装具の装着を行い、安定化を図ります。
経過が長い慢性例では、外科的な治療が必要となり、特殊な高抗張力糸を使った靭帯形成術を行います。
また、肩関節を形成する骨の形成異常が関与している場合には、プレートを使用した肩関節固定術(※)を行います。
いずれも1週間程度の肩関節周囲のバンデージ処置を追加します。
※ 肩関節固定による患肢の使用の制限を心配される飼い主様がいらっしゃいますが、もともと肩甲骨は軟部組織で胸壁に付着しており比較的自由な可動性を有しているので、固定による拘束はほとんど見られません。