股関節脱臼Hip Dislocation
股関節脱臼は、転倒や同居犬との騒擾、着地失敗、交通事故などが原因で、股関節への強い剪断力が加わったことで生じます。
多くの場合、強い痛みを伴って患肢の使用・負重は困難となります。
脱臼の形式は、主に前背側脱臼であり稀に腹側脱臼も生じます。
後者では、軽度の麻酔で比較的容易に整復が可能な場合が多く、整復後の維持は外転防止のための両足の拘束バンデージが有効です。
しかしながら前背側脱臼の場合には、整復が困難な場合が多いことに加えて、その後の維持のための処置に時間を有するため、30~60分の麻酔下での治療となります。
本院では、整復後の維持のために独自に考案した「大転子基部遠位よりX線透視下で骨頭から骨盤寛骨臼へ小径ピンを刺入する」低侵襲経股関節ピンニングを行い、好成績を得ています。
ピン刺入部のための10mm以下の皮膚切開のみで行いますので、手術後の早期回復が見込まれます。