前十字靭帯断裂Cranial Cruciate Ligament Rupture
膝関節の前十字靭帯断裂は、外傷や靭帯変性などに起因して生じます。
これまで、主に体重が重く、活動性の高い中・大型犬が外科治療の対象でした。
最近では小型犬にも多く見られ、前述の膝蓋骨内法脱臼が長い間放置されていることに起因して発症しているようです。
前十字靭帯断裂の治療には、外科手術が必須です。
歴史的には、筋膜や靭帯の一部など自己組織を利用した関節内法や縫合糸などを使用して大腿骨と脛骨の動きを制動する関節外法が多く実施されてきましたが、使用組織や縫合糸の早期破綻、感染などの合併症が多く報告され、現在では脛骨骨切りによる機能的安定化手術が最良とされています。
中でもTPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy; 脛骨高平部水平化骨切術)の成績が良好との研究報告が出され、世界的に広く認知されるようになっています。
本院では、主にTPLOを実施し、ほぼ3週間以内の歩行回復を実現しています。